Virtua Fighter 20th Anniversary 1993-2013

バーチャファイター20周年記念特設サイト

セガ公式サイト

インタビュー

2014年10月27日

プロフィール

大須晶 / 板橋ザンギエフ / ふ~ど
(東京バーチャプレイヤー②)

東京バーチャプレイヤー②。
左から
ふ~ど / 大須晶 / 板橋ザンギエフ

東京バーチャプレイヤー②では、「お手並み拝見2」優勝をはじめ実績を残す有名プレイヤーでありながら現在はカメラマンとしても格闘ゲームシーンを盛りあげる大須晶、そして『バーチャファイター』以外のゲームにおいても実績と存在感を放つ2人のプロゲーマー、板橋ザンギエフとふ~どの計3名に話を聞いた。格闘ゲームシーン全体を見てきた彼らから見た『バーチャファイター』とは何か。

 
アクティブプレイヤーよりも大会参加人数が多い!?
確固たるコミュニティはバーチャならでは

――    『バーチャファイター』をはじめたのはいつ頃ですか?

大須晶    俺は中学3年の頃だから15歳ですね。今、俺35なんで20年前っす。『2』からはじめて、あんまりやってない時期もあったけど大きい大会には顔だすしほぼやってますね。

ふ~ど    俺は『EVO』が出る前の『4』のバージョンCではじめて。半年くらいで『EVO』になったのかな。そこからちゃんとやった感じですね。他のバーチャプレイヤーより歴は短いと思いきや、もう10年くらいになりますかね。

板橋ザンギエフ    『2』『3』あたりは家庭用でやったり、ゲーセンでやるっていっても村勇者みたいな感じでしたけど、『4』の段位システムがたまらなくてガチンコでやりだしました。俺はこの段位をあげなきゃいけないんだと思って段位厨になりましたよね。それまではバンドをやっていたんですけど、そこから格ゲーにハマってバンドは二の次になっちゃいました。そのとき一緒につるんでたヒトの顔と名前がもはや朧げであります(笑)。

ふ~ど    俺も段位戦が大きかったかもしれないですね。他のゲームやりながら同段位の人がいたらバーチャやるっていうのを繰り返してたら気づけばバーチャの比重が大きくなっていて。段位戦はやばかったですね。

大須晶    あの時は対戦相手多かったっていうのも大きいだろうね。『EVO』の頃はプレイ人口がハンパじゃなかった。

ふ~ど    どんな小さなゲーセンにもバーチャが置いてあって、どこにもそこそこ強い人がいて。自分の実力にあった人がゲーセンごとにいて良かったですよね。

板橋ザンギエフ    ゲーセン自体も当時は多くて、どのゲーセンに行くか選べたからね。

――    大須さんがプレイヤーを撮ろうと思ったキッカケを教えてください。

大須晶    元々カメラは好きだったんですよ。高校生の頃にデジカメが初めて出て、35万画素のデジカメを6万はたいて買ったんです。
それが長い年月を経てとあるバーチャプレイヤーの結婚式で落として壊れて、折角だからいいやつに買い替えたら設定次第で今までよりも良く撮れることがわかって。それで一眼レフだったらどんだけ良く撮れるんだってなって買ってみて、そこから写真を撮るようになりました。
プレイヤーを撮るようになったのは、ふとした時にバーチャの大会ってチーム戦が多いし、「みんなで輪になってるのって暖かくねえか?」と思って写真撮ってみたのがキッカケです。
当時はプレイヤーを撮ってる人もいなかったけど、撮ってみたらかっこいいなあって。5年前くらいからですかね。自分が表彰台の上のほうにいた経験もあるので、上のほうにいる人達はカッコよく撮って欲しいっていう気持ちがあるのも知っているし、それでそういう写真を撮りたいなって思いました。
イベントレポートとかでもイベントの模様はあるけどプレイヤーに焦点をあてないのでもったいないなっておもったんですよね。イベントの写真を撮ることにおいて、ぶっちゃけゲーム画面なんて動画にも残るし俺にとってはどうでもいいんです。
カッコいいのに動画に残らないプレイヤーの表情こそ撮らないともったいないと思うから。

――    『バーチャファイター』以外の格闘ゲームシーンをより多く見ているみなさんが感じる、『バーチャファイター』とその他の格闘ゲームとの違いはありますか?

大須晶    最近になって2D格闘ゲームでもようやくイベンター側にプレイヤーが注目されるようになってきたんですけど、バーチャはそれを『2』からやっていたのでセガは早かったですよね。鉄人であるとかリングネームだったりとか、ゲームと同じくらいプレイヤーに触れていた。それもあって2D格闘ゲームよりも確固たるコミュニティができるのが早かったのかなと思います。もともと自分は2D格闘ゲームの古いプレイヤーと繋がりが結構あって、お互いの業界のことをよく話すんですけど、バーチャの業界は運営側がプレイヤーに注目してくれるから、業界が煌びやかに見えて憧れてたみたいな話を良く聞きます。あとはライブ配信とかもそうですよね。格闘ゲームで初めてライブ配信したのって、もしかしたら『EVO』の時の「格闘新世紀Ⅱ」が初めてなんじゃないですか? 今から10年以上前の話ですよ。たしかセガの店舗でしか見られない限定的なものだったはずですけど、これはすごいなと。

ふ~ど    優勝者が誰々っていうのがゲーセンの筐体で下の方に流れたのも記憶にありましたね。

大須晶    今、時間が経って『ストリートファイター』シリーズのような2D格ゲーでも、ゲーム以上にプレイヤーが注目されるようになって、近年のインターネットの発達で配信は個人でもできる時代になりましたけど。インターネットが発達して、個人でもプレイヤーの魅力を伝えやすくなってきているなか、『バーチャファイター』はもう数年新作が出ていない状況で、その間に他の業界がそういったプレイヤーに対するプロモーション的な方向性に追いついてきていて、先駆者たるセガはそのあたりの展開について常に先を行って欲しいと願う立場からするとちょっとさみしく思います。

板橋ザンギエフ    最近はアキラが他のゲームで顔をだしていて、それ自体は悪いことではないと思うんですけど、バーチャ自体が止まっていることは残念ですよね。

ふ~ど    他ゲーとの違いでいうと、バーチャプレイヤーは飲み過ぎですね(笑)。身内感というかコミュニティができていますから、ビートラ杯とかがすごくいい例。遠いところからみんな来るけど、大会が楽しいのは当たり前で、それ以外の楽しい要素もあるから来ているっていう人もいると思うので。そういうのはバーチャ独特のものだと思います。

大須晶    最近のビートラ杯とかマジでまったくやってないヤツとか来るからね。前回のビートラ(2013年)が129チーム参加で、これって下手したらアクティブプレイヤーより多く来た可能性がある(笑)。完全に賑やかしで来てる連中もいるから。他の格闘ゲームだったらプレイヤー人口がイコール大会参加人数になると思うんですけど、バーチャは長年培ってきたコミュニティによって、ビートラ杯クラスになるとまったくやってないヤツもいると。

ふ~ど    自分は山岸信者だから、山岸さんが他のゲームに出ていっていたらもっとバーチャのコミュニティがデカくなっているのかなって思いますけど。あの人はやっぱりすごいし面白いからそれで寄ってくる人もいると思う。

大須晶    たとえば『ストリートファイター』シリーズのイベントをもし山岸さんがプロデュースしたら、もっとユーザーのイベントが幅広くなりそうと思ったりもしました(笑)。例えばバーチャでいう毎月1回のベイエリアカップみたいなのやったりとか。もちろん毎回パンフを用意して、昔のベイみたいなクオリティで毎月運営出来ればの話ですけどね。

板橋ザンギエフ    でもあの人はインディーズで輝く人だと思うよ(笑)。

大須晶    でも、最近の『ストⅣ』業界はネットの発達によって運営側も注目されちゃうから、山岸さんのいわゆる”アングラ的”イベント要素は賛否両論かも(笑)。

ふ~ど    下手したら叩かれるかもしれない(笑)。

板橋ザンギエフ    なんの話だったっけ(笑)。

大須晶    バーチャと他ゲーの違いについてだよ(笑)。他ゲーはプロゲーマーがいるのデカいよね。極めてキャッチ―だよ。そう言えば、いわゆるプロゲーマー制度が生まれる十数年前に鉄人たちはギャラをもらってプレイしていたわけなんだよね。それってもうプロゲーマーじゃない?

板橋ザンギエフ    同じどころかあっちのほうが強かった。

ふ~ど    当時の『バーチャファイター2』っていうタイトルが強かったっていうのもあると思いますよ。

大須晶    地上波に出ていたっていうのがね。当時は情報といったら新聞か雑誌か地上波しかないような時代で、そこでテレビの人気番組に出ていたのは衝撃的だったよ。

ふ~ど    他ゲーとの差で大きなものと言えば平均年齢もそうですよね。前にバーベキュー行ったらマジで40歳くらいばっかりで。『ガンスト』(ガンスリンガーストラトス)とかだと平均年齢20くらいで16、17くらいの干支一周下のプレイヤーとか全然いるのに。

大須晶    平均年齢35とかだよ。

板橋ザンギエフ    最近『3tb』が流行ってるミカドに行ったら昔のメンバーに会えたんですけど、全員俺より年上でしたからね。自分が最年少でセガールさんが真ん中みたいな。

大須晶    俺も若手だよ。バーチャはじめた時は超若手で、初めて全国出た時15歳なんですよ。当時も大人がやるゲームだったから20代前半が多かったですね。その時、池袋サラさんが32歳とかだったし。

板橋ザンギエフ    20代のプレイヤーもいるっちゃいるけど、平均年齢35歳とかのコミュニティに入っていくのは難しいですよね。そういう昔からのコミュニティも大事だけど、バーチャ自体がコミュニティレベルの話になっちゃダメだとおもうんですよね。もっと新しいプレイヤーに訴えかけるようなものがあればいいんですけどね。

 
キャラではなく人と戦っている感覚がデカい
対戦すれば相手の本性まで見えてくる

――    システム面で『バーチャ』と他のゲームとの違いと大きく感じる部分はありますか?

板橋ザンギエフ    バーチャはハイリスクハイリターンでバチバチやりあるけど、2D格ゲーはセーフティな行動ばっかりになっちゃうイメージありますね。

大須晶    セーフティな行動してミス待ちとかね。

板橋ザンギエフ    そうそう。どうしてもミス待ちは強い行動になっていて。わりとノーリスクハイリターンで、何もしないor何かしてるフリしてるのが強い、って感じることが多い。

ふ~ど    1点読みが報われづらいっていうのはありますね。1点読みを通しても、通した側がすごいっていうことじゃなくて、通られた側の選択肢がヌルいみたいなのが2D格ゲー。バーチャはどっちかっていうと通した側がすごいってなるじゃないですか。それって、バーチャは2択がちゃんと2択になっているから通した側がすごいってなる。2Dにはまだ2択っていうのが存在しないんですよね。ゲームの精度を上げるのが2Dで人読みするのがバーチャっていうイメージがあります。最近では『ストⅣ』も稼働が長くてみんながゲームを詰めきってきていて人読みゲーになってきましたけど。

板橋ザンギエフ    バーチャは他のゲームに比べて人読みの要素が強いから他のゲームに比べてキャラではなく人と戦ってるという感覚が圧倒的にデカいんですよ。そいつの本性みたいのが出るから仲良くなりやすいのかもしれない。

ふ~ど    またそのゲーム性ゆえか、敵・味方のバチバチ感にも繋がりやすかった気がします。むしろ昔は味方が少なかったと思う(笑)。それでも面白かったってなんなのかな。ちび太さんと町田で最高段位の同段位戦していた時に、相手側は20人~30人いて、俺のほうには2、3人しかいないっていうシチュエーションがあってやばいなって。野試合なのにギャラリーから声も出て完全にアウェーで。今でもお互い平等にギャラリーがいてそういう状況ならあるかもしれないですけど、昔はわりと偏りがあったというか、そういうほうが楽しかったですけどね。

板橋ザンギエフ    初見で対戦したオッサンと飲みに行くとかありましたよ。「お前やるな、連れてってやるよ」って言われたりして。2Dだと絶対ないと思うから。

――    『バーチャファイター』をやってて良かったことはありますか?

大須晶    セガが細かくイベントやってくれていたのはありがたかったですね。他のゲームだと新作出ました、全国大会1回やりましたで終わりなのが普通だけど、バーチャは全国大会しかり、バーチャ博しかり、大会やイベントをたくさんやってくれたから。

板橋ザンギエフ    他ゲーのプレイヤーからもうらやましいって言われますね。

大須晶    ユーザー主導のイベントもいいけど、公式大会ってまたモチベーションの上がり方が違うじゃないですか。そういう意味ではお金を使って公式イベントをガンガン開催してくれるセガには本当に感謝していたし、先程の話に戻ってしまうんですが他業界のプレイヤーもそこは羨ましがっていましたね。

ふ~ど    スタープレイヤーとして組手イベントで全国まわったりしたのも良かったですね。

大須晶    他に良かったことと言えば、周りのプレイヤーの年齢層が高かったので大人と話す機会をたくさん持てたのは良かった。

板橋ザンギエフ    上の人にかわいがってもらって俺らは育ったんじゃないですかね。ゲームがやれたからっていうのもあったのかもしれないけど。当時は大学生で、周りの友達は大学生としか絡まないけど、俺はバーチャやってたからいろんな職業の人と話すことができたし、いい経験でした。

(20周年を迎えた『バーチャファイター』へのメッセージ)
板橋ザンギエフ:まず、今までバーチャには本当に色んな要素においてお世話になって、感謝してますっていうのが率直なところです。
そして、次回作が万全な状態で出てきてくれることを期待しています…と同時に、もしチャンスがあるなら、是非とも開発に関わらせてほしいという気持ちもあります。長年にも渡ってプレイし、どういうポイントに熱があるかっていう肌感覚は脳髄に刷り込まれていますし、最近ではプレイヤーの意見を取り込んでいるタイトルも少なくないので、お役に立てることがあるんだったら助力は惜しまないです。
「みんなで作っていく」みたいな空気になればいいな、なんて思いますね。

ふ~ど:自分は鈴木裕さんが命削った最新作が出てくれたら幸せです。良いか悪いかはわからないけど、全然新しい『バーチャファイター』を作ってくれるんじゃないかと思うんですよね。期待しています。

大須晶:僕たちも長く格闘ゲームの世界にかかわってきて、自然とただゲームをガチャガチャやるだけの立ち位置だと満たされなくなってきたんです、精神的に。年食ってゲーム以外のスキルもそこそこ増えてきましたしね。自分の話でいえば、写真撮ったり配信の勉強したり、配信に出させてもらったりっていうのも、言うならば全部が次のバーチャファイターの下準備みたいなモノなんですよ(笑)。
万が一、本当に万が一バーチャ新作が出るとなったら、稼働直後から今まで培ってきた様々なノウハウ、スキルを全部ぶち込んで、全力投球でゲームを盛り上げる事ができたらいいなと思っています。
もちろん面白いゲームだったら、が大前提ですが(笑)。
このページのトップへ戻る