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インタビュー

2013年12月19日

プロフィール

下田 麻美 (声優・2代目バーチャガール)

しもだ あさみ◎声優。アーツビジョン所属。1986年1月30日生まれ。鳥取県出身。
2003年『THE IDOLM@STER』の双海亜美、双海真美役でデビュー。2010年より2代目バーチャガールに就任。主な出演作品…「VOCALOID2 キャラクター・ボーカル・シリーズ02 鏡音リン・レン」、「生徒会役員共」(小泉チカ役)、「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」(猿渡銀兵衛春臣役)、IS<インフィニット・ストラトス>(凰鈴音役)ほか。

 
バイト先のゲームセンターで
バーチャの筐体を拭いていました

――    バーチャガールになる以前から『バーチャファイター』というゲームは知っていましたか?

下田麻美(以下、下田)    2005年、2006年頃にゲームセンターでアルバイトしていたこともあって、よく筐体を拭いていました。『5』が出たばかりの頃に1回だけやったことがあって、その時は教えてくれる人とかもいなくて、良くわからないまま終わってしまったので、きちんとプレイしたことはなかったですけど。もちろん、『バーチャファイター』というタイトルはもっと前から知っていました。ゲームにほぼ無縁で育ってきた私でも、生きている中で自然と名前を刷り込まれていたくらい、有名な格ゲーですから。

――    ゲームとはほぼ無縁だったのに、ゲームセンターでバイトをしていたんですね。

下田    ここ10年くらいですかね、ゲームセンターもファミリー層や女の子だったり、幅広い層が入りやすい環境になったじゃないですか。それで、良く利用していた駅の近くのゲームセンターに、目的がなくてもひまつぶしがてら行っていたんです。そのお店で、良くお客さんに話しかけるタイプの店員さんがいて、その方にある日「うちには面白い人がいっぱい働いてるから一緒に働こうよ」って言われて、「やってみようかな、じゃあ入ります」みたいな流れでバイトすることになりました。面接とか一切なくて、勧誘されたような感じで(笑)。

――    変わった経緯ですね。

下田    ゲームセンターのバイトは、楽しいことも楽しくないこともたくさんありましたね。風営法のアナウンスをするのが憂鬱でした。何時になったので何歳の人は出て行かなきゃいけないっていうのを無視されたりして……でも仕事だから言わないといけないし(苦笑)。ゲームセンターの店員さんって、大変なんですよ。

――    アルバイト先ではじめて『バーチャファイター』に触れてから数年後、2代目バーチャガールに任命されるわけですが。

下田    働いていたゲームセンターの店長が大のバーチャ好きだったんですよ。バーチャガールに決まった時に報告したら「アニメはあまり見ないから下田がどんな活躍をしているのかわからないけど、バーチャで仕事が決まったか。そうか」ってすごい喜んでくれて。私がバーチャに詳しくなかった分、身近にいた人が喜んでくれたのが嬉しかったですね。近しいところに「バーチャをもっと盛り上げたいな」「もっとこうして欲しいな」っていう要望を持ったファンの人がいるっていうのを感じて、それに対して何か良い話を持って帰れるようにならなきゃなっていう責任感が生まれました。

 
1ラウンドの中で自分の技が1個
決まったらガッツポーズなんです

――    バーチャガールになったあとは、実際にプレイもするようになったわけですが。

下田    レバーを持つのが苦手で、レバー操作で一番苦戦しました。1番(左斜め下方向)と7番(左斜め上方向)に入れるのが苦手で……。

――    レバー方向が数字で出てきたことに驚きです(笑)。

下田    自分では入れているつもりなんですけど、2番とか4番に入っちゃうんですよね。でも、なんとなくできないとかじゃなくて、ここに入っちゃってるからもう少し思ったより上に入れないといけないなとか、意識して地道に積み上げていくものなんだなって思いましたね。

――    プレイをはじめて、イベントなどで対戦を披露する機会も出てきました。

下田    大会にもお邪魔して、みなさんのプレイを見たりもするんですけど、すごすぎますよね。それに比べて自分のプレイはヘナチョコですけど、例えば1ラウンドの中で自分の技が1個決まったらガッツポーズなんです。その嬉しさっていうのは、最初の頃、特にありました。最初、ファンの人と戦ったりした時は、やったことのない方が多かったですし、自分が上手い気がしていたんです。でも、実際に強い人とやった時になんにもできなかったりして未熟さを感じて。攻め込まれると自分も一発当てたいと思ってガードが疎かになってしまったりするんですけど、終わったあとにセクシーさんだったり、バーチャを教えてくれている師匠の方が「ちょっと焦りすぎていたね」とか言ってくれたりすると、次は焦らずガードを頑張ろうという意識になりますよね。その都度課題を一緒に見つけてくれる人が周りにいて、一人じゃなくて、みんなが一緒に頑張ろうってやってくれるのって、部活の大会みたいで良いなと思って、いろんな楽しさがあるなって思いました。

 
一番嬉しいのは自分のファンの方が
バーチャをはじめてくれたこと

――    2010年から務めてきたバーチャガールですが、特に思い出に残っていることはありますか?

下田    私のファンがバーチャをはじめてくれたこと、これが一番ですね。元々バーチャをやっている方のプレイを見て刺激を受けたのと、私が宣伝していることもあって、はじめてくださった方がいらっしゃるんですけど、本当に頑張ってくれていて。強い人がいっぱいいるなかで、ゲームセンターに行って、100円入れて、負けて、また100円入れてっていうのは大変なことだと思うんです。弱い人が強い人に向かって入れる100円って、木端微塵にされるだけの100円だったりするわけで、それをこらえてこらえて頑張って強くなってくれている人がいるのは本当に嬉しいです。今は家庭用も出て、家でも練習できるようになりましたけど、最初のうちは本当に大変だったと思うし。でも、そういう姿勢に対して私はもちろん、作り手側のセガさんや、既存のバーチャプレイヤーのみなさんも、気持ちを受け止めてくれて頑張れって応援してくれているんですよね。私のファンの方達がまたそれに応える形で努力をして楽しんでくれているっていう図が、もうドラマです。別にプレイすること強制はしていないですし、私が出ているバーチャのイベントも、プレイしないで見ているだけでも楽しめると思うんですけど、セガさんだったり、既存のプレイヤーさんたちに一番喜んでいただけるのって、やっぱりバーチャ人口が増えることだと思うので、プレイしてくれるのはやっぱり嬉しいですよね。

――    昨年あたりから、下田さんのファンの方は大会へも参加しています。

下田    このあいだもビートライブカップに出て負けてしまったけど、みんな一生懸命その日のために準備してくれていたし、それに対して負けたことを笑った人なんて誰もいないと思いますよ。すごくかっこいい敗北だなって思います。だから、まだまだドラマを作っていって欲しいなっていうプレッシャーをかけてみたりもしますけど(笑)。

――    プレイヤーの実力が成熟している現在の環境を考えると、そこで勝てるようになるのはなかなか簡単ではないと思います。

下田    バーチャをずっと好きでやっている人達って、めちゃくちゃ練習したと思うんですよ。だから、そう簡単に負けてたまるかっていうプライドもあると思うし、そこに対して向かっていって、覆して欲しいなって思います。大会を見てても勝つべくして勝つ人が勝っているし、あの人に負けたことが悔しいって言って強くなっていく人もいたり、本当に青春ドラマを見ているみたいで。格闘新世紀Ⅵでちび太さんが優勝した時も納得がいったし、すごい感動があって。ビートライブカップではニコニコ生放送中にインタビューさせていただいたぷうたさんが「絶対勝つ、今日の俺達は負ける気がしない」って強気な発言をされていて、どんな試合をするんだろうと気になって、家に帰って試合を見ていたんです。そうしたら、ぷうたさんのいる「ファミリー餃子五人前」が優勝して。みんながみんなに自分の背中を預けているような、仲間を信頼している感じが伝わってきて、すごい感動しました。こんな風に、数あるドラマが生まれていく歴史を一緒に目撃できていることも楽しいので、もっと歴史が続くように自分に力になれることがあるのならやっていきたいなと感じています。

(20周年を迎えた『バーチャファイター』へのメッセージ)
『バーチャファイター』20周年おめでとうございます。20年というと相当長いですから、それだけ続いているという数字だけを見ても、『バーチャファイター』を支えてくださる方がたくさんいらっしゃるんだなと感じることができます。この数字が20で終わることなく、25、30、35、40と、どんどん続けていけるように、私も微力ながらたくさん『バーチャファイター』を応援させていただきたいと思いますし、みなさんもこれからどんどん盛り上がるように、これからも『バーチャファイター』をよろしくお願いします。
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