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インタビュー

2014年1月16日

プロフィール

浜村 弘一 (KADOKAWA エンターブレイン ブランドカンパニー
ファミ通 グループ代表)

はまむら ひろかず◎テレビゲーム情報誌『ファミコン通信』(現『週刊ファミ通』)創刊から携わり、『週刊ファミ通』編集長を経て、現在は株式会社KADOKAWAの常務取締役で、エンターブレイン ブランドカンパニーのファミ通グループ代表を務める。

 
プレイヤーが注目される新たな文化 それまでとは違う風景が生まれた

――    『バーチャファイター』が出てきた当時、浜村さんはどのような立ち位置だったのでしょうか。

浜村弘一(以下、浜村)    あの時は、ちょうど『ファミ通』の編集長をやっていました。

――    ゲーム情報誌の編集長として、『バーチャファイター』のブームをどう感じられていましたか?

浜村    不思議なムーブメントだった思います。ゲームの人気が出る、ゲームの人気が出てゲームセンターに人が集まる、家庭用が発売される、そんな盛りあがり方はありましたけど、『バーチャファイター』の場合はプレイヤーが注目されましたよね。それこそ新宿ジャッキーとかブンブン丸とか、そういった人達が出てきて、地名とキャラクター名がセットになった強い人もアチコチに出てきたじゃないですか。ゲームが流行っても、ああいうのはそれまでになかった現象だったので、一種変わった文化が生まれたな、と感じましたね。

――    名前の挙がった「新宿ジャッキー」が在籍していた『ファミ通』も、ブームの一端を担っていたと思います。意図してブームを仕掛けた部分もあるのでしょうか。

浜村    あれは僕が狙ったわけではなくて、「新宿ジャッキーってうちにいる羽田君?」っていう感じで、普通にうちにいる編集者が、いつのまにかそんな有名な人になっているんだってビックリしましたね。しかも彼はわりとおとなしいというか、荒々しい感じの人間ではなかったので、そんな彼が日本中から注目される格闘ゲームプレイヤーっていうことに不思議な違和感を感じていました。

――    現場からはじまった動きが、自然とブームになっていったんですね。

浜村    そうですね。あそこまで大きなムーブメントになって、ゲームセンターも変わりましたよね。それまでのゲームセンターとはまったく違う、格闘場みたいな雰囲気に変わっていって。『バーチャファイター』のコンテンツ力っていうのはゲームを取り巻くシーンを変えたなと思います。変わったと言えば、攻略本の作り方も変わりました。あの頃、解体真書みたいな分厚い攻略本を作ったんです。キャラクターの動きを1個1個コマ割りにして連続写真で見せたんですけど、そういった見せ方はそれまでにはなかったと思います。そういうニーズ自体がなかったと思うので、『バーチャファイター』の前と後で随分と風景が変わりましたよね。

 
格闘ゲームというより格闘シミュレーター
勝った人間が純粋にカッコいい

――    『バーチャファイター』以前にも格闘ゲームのブームはあったと思いますが、その時と違いはあったのでしょうか。

浜村    『ストⅡ』(『ストリートファイターⅡ』・カプコン)の時も対戦が流行って、負けたら次の人と交代という新しい遊び方が生まれてゲームセンターの雰囲気が変わったんですけど、それともまた違う格闘場みたいな雰囲気に変えた。『バーチャファイター』って、技の掛け方にしても、格闘ゲームというよりも格闘シミュレーターなんですよね。派手で奇妙な技で勝つというのではなく、それこそ武道をやっているような感覚。強いプレイヤーは本当に尊敬されていたし、そんな感じでみんな遊んでいたんじゃないですかね。(鈴木)裕さんも、そういうところをすごく意識して作られたと思うので。『バーチャファイター』のプレイヤーは、ゲーマーというよりファイターですよね。シミュレーターのような作りだからこそ、勝ったプレイヤーが純粋にカッコいいと思えるんでしょうね。

――    さまざまなゲームを見て、プレイしてきたと思うのですが、『バーチャファイター』を最初に見た時に、ヒットする予感はありましたか?

浜村    異質なゲームだなと思いました。『1』はかなりカクカクのポリゴンで、ポリゴン数も少ない人形みたいな見た目でしたけど、プレイしていると本当の人に見えてくるという驚きがありました。だから、売れる売れないという感覚よりも先に、「こんなゲームがあるんだ」という違和感を感じました。ゲームとして派手に演出するより、シミュレーターのように動かすという、作り方とか発想が違うゲームだなと思いましたね。『バーチャファイター』が出た当時、今田耕司さん、東野幸治さんと一緒にテレビ番組(『ゲームカタログⅡ』)をやっていたんですけど、彼らも『バーチャファイター』にハマっていたんです。普段全然ゲームをやらない人がハマっているのを見て、そういった人達にもアピールできる魅力があるんだなと、シミュレーターのような格闘ゲームがゲーマーではない一般の人に伝わりやすかったんだなと思いました。

――    異質に感じるゲームというのは他にもあったのでしょうか。コメント(インタビュアー)

浜村     時代を代表するゲームは大体異質ですね。『ドラゴンクエスト(※2)』(エニックス)が最初に出てきた時は異質だったし、『ファイナルファンタジーXI(※3)』(スクウェア)も『モンスターハンター(※4)』(カプコン)も『怪盗ロワイヤル(※5)』(DeNA)も、やはり異質なゲームでした。異質なゲームだからこそ、時代を動かしたんだと思います。異質なゲームっていうのは、それまでのジャンルに当てはまらないんです。『バーチャファイター』も、それ以前に3Dのシミュレーター的な格闘ゲームというものがなかった。やっぱり、異質な驚きのあるものが時代を作っていくと思うし、『バーチャファイター』もその典型的な例のひとつなんだと思います。

(20周年を迎えた『バーチャファイター』へのメッセージ)
(20周年を迎えた『バーチャファイター』へのメッセージ) 浜村 時代を作ったゲームだと思いますし、ジャンルを作ったゲーム、後に道を作ったということで、評価されるべきゲームだと思います。率直な気持ちとして、とても尊敬しています。
(注釈)
※1 1991年に稼動開始の対戦格闘ゲーム
※2 1986年に発売されたファミリーコンピュータ用ロールプレイングゲーム、およびこれを第1作とするロールプレイングゲームのシリーズ
※3 2002年に運営開始されたファイナルファンタジーシリーズ初のオンラインゲームMMORPG
※4 2004年に発売されたPlayStation 2(PS2)用ハンティングアクションゲーム、およびそのシリーズ
※5 2009年に提供開始された携帯電話専用のオンラインゲーム。
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